社会保険労務士の本多です。
私の仕事は経営者から経営や従業員に対するお悩みをお聞きし、法律の知識や解釈とこれまでの経験を活かして解決に導くことです。
私自身、社会保険労務士法人の代表を務めており、現在は7名のスタッフを雇用している経営者です。今回は経営者が知っておくべき法律知識、36協定(サブロクキョウテイ)について、私が解説します。
現代は情報社会で、誰でも簡単に様々な情報が入手できるようになりました。経営者がコンプライアンスを軽視していると、取り返しがつかない大怪我をしてしまうことに…。
総合労働相談件数は129万782件で、13年連続で100万件を超え、高止まり
都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など379か所(令和3年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応。
人に関わる法律の活かし方や従業員が活躍することで成果に繋がる術、会社をより発展させる方法をここではお伝えします。
まず経営者は従業員の「労働時間の原則」を覚えてください。
労働時間の原則とは「使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない」というもの。
原則、1日8時間を1分でも超えたら違反なんです。
36協定とは、この原則を超えて従業員に働いてもらう場合には必ず必要なものです。
残業(労働時間の原則を超えた時間)や休日労働があるなら、事前に36協定を労働基準監督署に届出をする必要があります。
36協定の作成や届出を怠ったまま残業をさせてしまったら、罰金を支払う責任を負うことになります。
36協定には従業員と残業や休日労働について、以下の取り決めが必要です。
等々…
※上限時間をさらに延ばすことも可能です(さらに特別条項を提出)
取り決めをする労働者ですが、全員とではなく代表を決めてもらい、その方と協定をすればOKです。
ただ、ここで注意があります。
社長「代表は・・・君、お願い!」
このように会社から指名することはNG!労働者間での投票、回覧、挙手、朝礼等で互選する必要があります。
届出について、従来は労働基準監督署まで出向いて届出したり、郵送したりしていましたが、今では電子申請が可能になりました。効率よく運用することを考えれば電子申請がおすすめです。
この協定の有効期間は1年間までなので、1回出せば良いのではなく、毎年従業員と協定をして届出をする必要があります。
36協定をきちんと運用することで経営者がコンプライアンスを重視していることを従業員に示せます。約束事をきちんと守ること。これは人としてとても大切なことだと思います。ビジネスでも人間関係が大きな影響を与えます。
36協定をきちんと運用することで信頼関係を築き、従業員との良好な職場環境を作ることができます。
36協定の範囲内であれば残業させることは全く問題ありません。これが会社をホワイト企業にする第一歩です。ホワイト企業であれば従業員も安心して働くことができます。従業員の家族からも信頼され、人から応援される会社になります。
ここが1番の大きなメリットであると私は考えています。日々忙しい中で、社長から業務の指示以外の時間は取れていますか?
社長はみんなこう言います。
社長「もちろん取れてます」
本多「それは本当ですか?」
従業員から「改善点があります」といった声は社長に上がってきていますか?従業員を雇用すれば、「勝手に生産性が上がる」と誤った認識をしている経営者がとても多いんです。
みずから改善点を提案してくれたり、工夫して考えて生産性を向上させながら仕事を進めてくれたりする従業員は、実はとても少ないんです。
まず経営者から働く人の率直な声や意見に耳を傾けてください。そこには経営者としてのたくさんの学びや、経営を加速させるためのヒントが隠れています。
以上、社会保険労務士の本多がお届けしました。